そもそも増減表とは?いつ習う?
微分・積分分野で出てくるものといえばなんでしょう.そうです、増減表です.増減表はグラフを描くためには必要不可欠です.ただ、増減表における$y’$や$y”$の符号判断って値がプラスなのかマイナスなのかを代入法などで判断すると習うのではないでしょうか.初めて増減表を習うのが数学IIなので,そこで扱う関数って3次関数や4次関数であるので代入するのは苦でないんですよね.勿論,代入したら判断できるということが正しいことは確実です.
数学IIIにおける増減表 代入することの苦しみ
しかし、数学IIIではそうはいきません。$y’=0$になる$x$が$x=0, \displaystyle\frac{\pi}{6}$となったしよう.0から$\displaystyle\frac{\pi}{6}$の間の値ってなんだろうか?そうだ!$\displaystyle\frac{1}{2}$を代入しよう!と思ったあなた.この後絶望しますよ?なぜかというと,解で$\displaystyle\frac{\pi}{6}$が出てくるということは,9割以上の確率で$\sin$やら$\cos$やらの三角関数が混じっているんですよ?$\sin\displaystyle\frac{\pi}{6}$の値ならわかると思いますが,$\sin\displaystyle\frac{1}{2}$の値がわかりますか??私はわかりません。。。
(補足:$\sin\theta=\displaystyle\frac{1}{2}$を満たす$\theta$はわかりますよね?ここで言ってるのは角度に有理数が入ると値がわからないですよねということです.)
たしかに正負を判断するだけならよいのですが,$\sin\displaystyle\frac{1}{2}-\displaystyle\frac{1}{2}$とかこれよりもさらに複雑になると,考えたくなくなりますよね?しかも交点が複数個出てくると,正負判断だけで5分とか普通に消費しますし,ミスにもつながります。。。
具体例と解き方
先日出した問題がこちらです.
こちらの解答中で,$y’=-\displaystyle\frac{(x-1)(x^2+x+3)}{(x^2-3x)^2\sqrt{x^2+1}}$という結果が出てきます.この$y’$の正負判断するのに、値を代入するのは面倒だと思います。では、どうすればよいのか?
答えは簡単です。『符号がいつでも定まるものと定まらないものに分ける』ということをするだけです.まず、分母の$(x^2-3x)^2$は$x$が実数の範囲だと、いつでも0か正の値になりますよね.$(実数)^2$が正になることは絶対に抑えておくべき事柄です(証明等でも用います).ということで$(x^2-3x)^2$は$y’$の符号を考える要素には関係ないことがわかります.
次に,$\sqrt{x^2+1}$ですが,こちらも$\sqrt{実数}$は0か正になります(*実数の範囲では$\sqrt{}$の中身が正の値以外になりません.).よって,$\sqrt{x^2+1}>0$となり,こちらも$y’$の符号を考える要素にはなりません.
残るは分子です.$(x-1)(x^2+x+3)$を分解すると,$x-1$は正の値も負の値も考える必要があります.$x^2+x+3$は
$x^2+x+3=(x+\displaystyle\frac{1}{2})^2+\displaystyle\frac{11}{4}$
と変形できます.先ほどの$(実数)^2$が正になるということを利用すると,$(正の値)+(正の値)$は正の値になることは自明ですよね.よって,$x^2+x+3$は$y’$の符号変化には関係しないです.
$y’$の符号を考える上で必要な個所は$-(x-1)$だけということが分かります.これは一次関数のグラフを描けば,正負の値を判断できますよね?こんなにややこしいものがものすごく簡単なものになっちゃいました.
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